Gallery ARK    S C H E D U L E 
 

2014・11・13日(木)-11・22(土)日曜休廊
AM 11:00-PM 6:00 (last day PM 5:00)


広田稔展 
- 友部さんの色鉛筆 -  








                           詩:友部正人


「 色鉛筆のどんでん返し 」 A3 色鉛筆  








                              詩:友部正人



「 汽笛 」 A3 色鉛筆








                         詩:友部正人




「 8月16日の幻想(1) 」 A3 色鉛筆








                    詩:友部正人


「 言葉 」 A3 色鉛筆







友部さんの色鉛筆

   中学の頃から大好きだった詩人でシンガーソングライターの友部正人さんが、ご
  近所に引っ越して来て友達になった。

  初めて彼の家を訪ねた時、500色の色鉛筆を貰った。「こんな立派なものもらえ
  ないです」って言ったら、奥さんのユミちゃんが「友君は12色あればいいのよ」
  って言って、貰う事にした。
  僕はこの色鉛筆で絵を描いて展覧会を開こうと思った。

  友部さんとユミちゃんが僕んちに来た時、コラボレーションの話になった。何か
  言葉を貰いたいって言ったら、彼が詩を書いて僕んちのポストに入れておいてく
  れる事になった。

  僕はいつもは写実絵画という世界に住んでいて、出会った形や色に感動して絵を
  描いている。でもこのコラボレーションは、彼の言葉だけをたよりに、イメージ
  を膨らませて描いてみることにした。

  モデルも、スケッチも、資料も使わないで描くのは何十年ぶりだろう。やってい
  くうちに、この自由さがたのしくなった。そう、絵なんだから何でも好きなよう
  に描けばよかったんだな。随分永い間、忘れていた。

  高校生の時に、聞いた「誰もぼくの絵を描けないだろう」というアルバムは、今
  僕が絵描きをしている大きな要因になっている。

  電話と、手紙が嫌いな僕が、一日に何度もポストを覗いてみる人になった。


                                                  広田 稔




             色鉛筆はやはり、飾るよりも描く方がいい

  やはり色鉛筆は使うものだ。広田さんのアトリエで、短くなった何色もの色鉛
  筆を見たときにぼくはそう思った。色鉛筆の色は鉛筆から飛び出していって、
  何十枚もの画用紙の上で絵になった。色鉛筆がぼくの子供たちだとしたら、ぼ
  くはただその子供たちを色鉛筆の箱の中に閉じ込めておくだけの悪い見本のよ
  うな親だった。本でもCDでも、棚に並んでいるだけで満足してしまう傾向の強
  いぼくは、500色の色鉛筆もきっと、たまに眺めてうっとりするだけだっただろ
  う。そのことをぼくに気づかせてくれたのは妻だった。

  初めてうちに遊びにやってきた広田さんに、色鉛筆をもらってよと妻は提案し、
  広田さんは「じゃあこれを使って絵を描いてみましょう」と言ってくれた。
  これが色鉛筆のどんでん返しだ。


  実は広田さんとぼくは、同じ建物の一階と二階に住んでいる。広田さんから絵
  の題材になるような言葉を頼まれていたから、短い詩のようなものを書いては、
  広田さんちの郵便ポストに入れておくようにした。何日かしてぼくのうちのポ
  ストには、広田さんから返事のような、すばらしい絵が届けられた。絵という
  ものは言葉に比べるととても豪華だ。目で一瞬にしてとらえられる色があって
  形があって感情がある。一枚一枚が生きもののようで、そんなものがぼくのう
  ちのポストに挟まっているものだから、ポストが言葉を差し込むと絵が出てく
  る自動販売機のように見えてきた。


  元はといえばこの色鉛筆は、何年か前に絵本の仕事でかかわったフェリッシモ
  という会社が毎月25色ずつ20か月かけて送ってくれたものだった。500色の色
  鉛筆というのはなかなかめずらしいらしい。色鉛筆をただ大切にしまっておく
  なんてきっと一番つまらない使い方だろうな、とずっと思っていた。かといっ
  て500色もの色鉛筆で何をすればよかったのだろう。ぼくのところに来た色鉛
  筆は幸せである。広田さんというやさしい色使いに出会えたのだから。かたい
  鉛筆の芯から生まれたとはとても思えないような色の広がりを見たとき、ぼく
  は広田さんが絵描きというよりは魔法使いに思えたのだ。

                                
友部 正人

  
   友部正人プロフィール

   1950年東京生まれ。高校卒業後名古屋の路上で歌い始め、72年「大阪へやって来た」で
   レコードデビュー。以降コンスタントにアルバムをリリースし、ライブも精力的に行っている。
   最新作「ぼくの田舎」(2013)まで23枚のオリジナルアルバムを発表。
   詩集、エッセイ集など著書も数多く刊行し、最新詩集は「退屈は素敵」(2010)。
   96年以降ニューヨークと日本を行ったり来たりの暮らしを続けている。




   広田稔先生の新企画の展覧会です。
   友部正人氏の詩からイメージし、スケッチも資料も使わず楽しみながら描いた、
   感情豊かな作品が壁面いっぱいに50点前後展示されます。是非お見逃し無く!
   
   今展覧会の作品と詩を載せました
   詩画集「色鉛筆のどんでん返し」(画:広田稔 詩:友部正人)
   も同時に販売致しております。
   
   価格\2,160(税込) 

     
    ご興味のある方はギャラリーアークまでお気軽にお問合せ下さい。

    TEL:045-681-6520   Email:ark@art-sq.com

    広田稔紹介ページ